人を喜ばせたい

ホンダコレクションホール

本日、紹介するのは自転車用補助エンジンとA型です。

ホンダ初めて作った商品で終戦(1945年8月)を迎えた次の年にできた。

当時の日本では自転車が大衆の足であり、山のような荷物を運ぶ手段でもあった。自転車に補助動力を取り付けたら、きっと喜ばれるだろう。エンジン動力の乗り物のビジネスを思いつく。旧陸軍無線機の発電用エンジンを自転車に補助動力として取り付けるというアイデアだ。

しかし、集めた500基ほどのエンジンを、単に駆動系部品を付けるだけで市販するような安易な方法は採らなかった。1基1基完全に分解し、手を加えては組み直して自転車に取り付け、試走してから売った。当時はエンジンと他の部品を自転車店に出荷すると、店がそれを既存の自転車に取り付け、販売した。補助動力付き自転車は大衆に手の届く価格だったことから受け入れられ、大人気となった。補助動力で町を走る自転車は、その排気音から「バタバタ」と呼ばれた。

 1947年になると、ホンダは、いよいよオリジナルのエンジン開発に挑む。第一号製品のA型には、さまざまなアイデアが盛り込まれているが、特筆すべきは、この時点で量産化に向けた挑戦が始まっていたことである。本田は「うちはダイキャストでやる」と言い張った。当時の規模からすれば、安価で簡易な砂型鋳造が妥当であったと思われるが、のちのちの量産化を視野に入れて、あえて金型鋳造のダイキャストを選んだのである。製法としても、削粉を出さず工程もシンプル、材料も少なくて済み、出来上がりが美しいという生産合理性に基づいていた。

自転車用補助エンジン

エンジン:空冷2ストローク 単気筒 50cc 最高出力1ps

A型

エンジン:空冷2ストローク 単気筒50cc 最高出力0.5PS 重量10kg 

片持ちクランクシャフト、クラッチ兼用の手動式ベルト変速装置

A型の燃料タンクのヒントなった鋳造製の湯たんぽで加工の手間を大幅に削減できるアルミ鋳物のティアドロップ型燃料タンクが採用された。

ちなみに自転車用補助エンジンは茶筒状の燃料タンクを付けていた。

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